小説

ダァ、ピザ食べるってよ(仮)

#共通幻覚:短い会話文

「寒いね」
「あァ」
「寒いとさあ、暖かいもの食べたくなるじゃん」
「そうだなァ」
「鍋とか麺も良いな……アッそれ」
「これかァ?」
「デリバリー?これ本部まで持ってきてくれるの?ここで待ってたら来る?」
「入り口のところが限度だろ」
「だよね~、さすがにここで座って待つだけとはいかないよね。弓場それ見せて」
「お前の隊室のとこにもあンだろォが」
「ウチ、あんまりこういうの取らないから来てもすぐ片づけちゃうんだよね。だから真面目に見るの初めてかも。見せてよ」
「好きにしろ」
「アッ、ピザだ」
「あァ?」
「ピザいいなあ。たまにアパートのポストにチラシはいってるんだけどさあ、あれ見るといつも食べたくなるんだよね。でもほら一人だと多いから億劫になってみるだけになっちゃう……いいなこれ、野菜乗ってるやつだ」
「……」
「野菜乗ってる奴見てるとお肉とかチーズ乗ってる奴も良いなって思うな。弓場何が好きとかってある?弓場なんかがっつりしたの食べてそうだけど案外カワイイ感じのも食べそうだから想像つかないな……うーん、どれもおいしそう。見てるとお腹すいてくるな……」
「頼むか」
「いいの?」
「食ったことねェんだろ」
「ピザはさすがにあるよ!」
「デリバリーの話してんだろォが」
「デリバリーは初めて!やったー。弓場食べるよね?」
「あァ」
「オッケー。どれにしようかな~、悩むな。二枚くらい候補あるよ」
「二枚頼めばいいだろォが」
「多くない?」
「余ったら食い盛りに遣ればいいだろォが」
「そう言われると二種類注文するほうに揺らぐ……」
「早く決めろ」
「わかった、わかりました……わたし、食べます!」
「威勢が良いなァ」
「元気が良いのは良いことでしょ?」
「そうだな。頼む奴はコレとコレでいいんだろ?」
「弓場好き嫌いある?嫌いなの入ってたりしない?」
「無ェよ」
「やった~。ならこれがいいなあ。一人で食べきれないと頼みにくいからさあ、弓場いて良かった。それでも多い気がするけど大丈夫?わたし一枚の半分も食べられないけど……」
「さっきの威勢の良さが引っ込ンじまってるぞ」
「……わたし、わたしは食べるって決めた……弓場なんかこれ食べたいとかないの?一枚弓場が好きなのにしようよ」
「俺はいつでも食えるから要らねェ」
「カッコいい、わたしもそれ言ってみたいな。……カタログもってどこ行くの?」
「注文しなけりゃピザは届かねェだろォが」
「エッ、電話してくれるの?ありがとう」

:

「二枚でも多い気がしてたのにまさか一番大きいサイズ頼むと思わなかった」
「食うのは俺らだけじゃねェからな」
「今日はみんなまだ帰ってないの?結構遅いね。もう二十一時過ぎてるのに」
「帰った」
「ええっじゃあ余ったのどうすんの」
「明日で良いだろォが」
「ピザあったかい方がよくない?」
「変わんねェだろ」
「ここ電子レンジあったっけ?ならいっか……」
「アイツらはそう言うのを気にするタマじゃねェ」
「そう?……ところでさあ、ピザ食べるとアイス食べたくならない?」
「そうかァ?」
「熱いの食べたら冷たいもの食べたくなるよ」
「……」
「絶対そう」
「……」
「そうでしょ?」
「……」
「ねえそう思うよね?」
「言いたいことがあるなら言えや」
「……ピザまだ来ないよね?」
「あァ」
「コンビニ行こう。今行けば間に合う」
「一人で行ってこいや」
「ヤダ!弓場何食べるかわかんないもん」
「俺のは買わんでいい」
「いいや、ダメだよ。やっぱりアイス、アイスが無いとさあ!ほら、弓場早く準備して、ピザが来ちゃう!」
「お子様かお前は」

:

「ねえ弓場!アイスはやっぱり一番高いやつが良いと思うんだけど、どう?」
「早く好きなの持ってこい。俺はあっちで飲み物探す」
「ラジャー……アッ」
「あれえ、みょうじさんと弓場さんだ」
「げえっ犬飼」
「ひどいなあ。もしかして二人デート?俺かなり邪魔っぽいね?」
「デートじゃないけど邪魔した」
「ふうん」
「スマホ打つの早……なにしてんの」
「チクってる」
「おい」
「返事きた」
「『弓場さんとみょうじさんがデートしてる』『そうなんだ』……すごい淡泊だね、嫌われてない?」
「いやいやいつもだよ」
「いつも嫌われてんの?」
「心配しなくてもあっちは友達って言ってたから大丈夫だよ」
「いつもこんな感じなの?」
「うん」
「へえそうなんだ」
「すごい興味なさそう。みょうじさんたち何しに来たの?高校生のデートでもココ来ないよ」
「デートじゃないってば。今からピザ食べるの」
「へぇ~、ピザデートだ。いいね」
「お前人の話聞いてないな?」
「ちゃんと聞いてるじゃん。当真あたりにもチクっとこうかな。たぶん明日には噂広まってるよ」
「サイテー」
「うんうん。『みょうじさんと弓場さんが今時の高校生でもやらないコンビニデート』っと」
「やめなさい」
「冗談だからスマホ返して。みょうじさんいいの?俺にじゃれついてる間に弓場さん会計してるみたいだけど?」
「エッ早い、わたしのアイスは」
「遅ェ」
「じゃあねみょうじさんと弓場さん。邪魔者は退散するね。楽しんで~」
「デートじゃないって言ってるでしょ。じゃあね犬飼、友達と仲良くしなよ。……アッ弓場まってお金」
「後にしろ後に」
「そう言って会計無かったことにする戦法には乗らないぞ」
「うるせェ」
「荷物はわたしが持って行くからね。アッ、うわー!高いアイス全部入ってる!やったー!後でじゃんけんして何食べるか決めようよ。この数だと一人何個食べれるかな?」
「好きなモン食えや」
「くじ引きでもいいなあ。アッ、弓場のとこの子どれが好きとかある?それは除けとこうよ」
「……余分に多く入ってるだろォーが」
「ほんとだ。気が利きすぎてかっこいい」
「今日食うのは一個にしとけよ」
「うん。お腹壊しちゃうからね。アッピザ、ピザ来ちゃう!」
「お前がチンタラしてるからだろ」
「ねえ弓場!あそこにいるのたぶんピザだよね?わたしのピザ!待って!」
「ピザは逃げねえからもっと落ち着け」
「間に合ってよかった……戻りとピザがくるのタイミングよくてびっくりだよ」
「テーブルにピザ置いたら早く手ェ洗ってうがいしてこい」
「アッ。ピザまって、わたしも開ける」
「いいから早くしろ」

:

「ピザおいしい」
「よかったなァ」
「最高。おっきいピザってそれだけでもー幸せ。一番大きいサイズ、やっぱりおっきいけどさあ、ピザ凄い食べてるって感じする。うわ、チーズこぼれる」
「少しは落ち着いて食え」
「弓場食べてる?って聞こうとしたけどかなり食べてるね。すごい、よく入るね。わたし結構お腹いっぱいだもん」
「まだ一枚の半分も食ってねえだろォが」
「ここ来る前にちょっとおやつ食べちゃったんだよね」
「さっき腹減ったって言ったのは誰だ」
「わたくしめでございます」
「アイスは」
「別腹でございます」
「都合のいい腹してるなァ」
「乙女の別腹って奴だよ。可愛いでしょ。アッ!アイス持ってきてくれたんだ。ありがとう。わーいっぱいある!迷うなあ」
「アイスは一つにしとけよ」
「うん。さすがにおなか壊すし明日食べにくるよ」
「あァ」
「バニラと抹茶とこれ季節限定?季節限定のやつがふたつもある!どっちもまだ食べたこと無いやつだ!こっちの限定二個あるってことは誰の趣味?帯島ちゃん?」
「あ?」
「弓場の趣味かあ。おいしかったら教えて、わたしもそれ今度食べるか決めるし……じゃあ、わたし限定のこっちにする!いただきまーす」
「好きにしろ」
「おいしー!やっぱりピザのあとにアイス食べるのは最高だよ。ピザを食べるならアイスが無くっちゃやっぱりだめだね」
「そうだなァ」
「すごいおいしかった。この味もなかなかいいから弓場も食べたらいいよ。ねえ弓場明日もアイス食べに行っていい?」
「好きにしろ」
「やったー!なら明日わたしが食べた味のやつ持って行くからさあ、弓場絶対アイス買わないでね」
2019-12-14